「ミレイ展」
先日、Bunkamuraザ・ミュージアムで開かれている「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」(2008年8月30日~2008年10月26日)に行ってきました。
ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896年)は、イギリスの画家で、11歳という若さでロイヤル・アカデミーの美術学校へ入学、1848年には、ラファエロ(1483-1520年)を芸術の頂点としたアカデミーに反発し、ラファエロ以前の中世や初期ルネサンスに立ち戻って対象物を忠実に再現しようと、細密な描写を特徴とする「ラファエル前派」を結成しました。
今回の展覧会では、約80点の作品が展示されています。
その数ある作品の中でミレイの代表作といえば、やはり『オフィーリア』が挙げられるでしょう。
オフィーリアは、シェイクスピアの名作『ハムレット』に登場するヒロインで、恋人のハムレットに捨てられ、さらに父親を殺されたことで正気を失い、錯乱状態で溺れ死んでいった人物です。
そのオフィーリアが死に直面する場面を主題としたこの作品を、ミレイは実際に川へ行き5ヶ月費やして背景を描いた後、モデルを浴槽に入れてスケッチし、完成させました。
『オフィーリア』を目の前にすると、オフィーリアの悲壮感に満ちた表情、見事な色彩の調和、そして緻密な背景の描写に気付かされます。
また、この作品には様々な植物が描かれていますが、それらには象徴的な意味が込められており(例えば、ケシは死、パンジーは叶わぬ愛、ヒナギクは無邪気など)、それらの花言葉がオフィーリアの精神状態をさらに補完しています。
『オフィーリア』以外にも人物や衣装、装飾など細かいタッチで描かれた作品が多く展示されていましたが、その中でも特に印象に残ったのがこの『マリアナ』です。
『マリアナ』は、詩人アルフレッド・テニスンが詠んだ詩『マリアナ』を主題としており、婚約者に捨てられ、絶望の中で孤独な生活をおくる女性マリアナの閉ざされた心と性的な欲望との葛藤が巧みに表現された作品です。
解釈もさることながら、私は作品そのものの描写力に引き込まれました。
ぼんやりとしたマリアナの視線、身体の線を強調したポーズ、綺麗なステンドグラス、テーブルクロスの細密な描写、ほのかに灯る蝋燭、右下に描かれた小さなネズミ・・・。
細部まで見ずにはいられない作品です。全体的に鮮やかな色彩で表現されたところにも魅了されました。
図録(2500円)とチケット。
展示場で図録を見たら、実際の作品と色があまりに違っていたのでびっくりしました。購入するかどうか迷いましたが、解説があるので、結局買ってしまいました。
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