2008年9月30日 (火)

「ミレイ展」

先日、Bunkamuraザ・ミュージアムで開かれている「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」(2008年8月30日~2008年10月26日)に行ってきました。

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「ジョン・エヴァレット・ミレイ展」のパンフレット。

ジョン・エヴァレット・ミレイ(1829-1896年)は、イギリスの画家で、11歳という若さでロイヤル・アカデミーの美術学校へ入学、1848年には、ラファエロ(1483-1520年)を芸術の頂点としたアカデミーに反発し、ラファエロ以前の中世や初期ルネサンスに立ち戻って対象物を忠実に再現しようと、細密な描写を特徴とする「ラファエル前派」を結成しました。

今回の展覧会では、約80点の作品が展示されています。
その数ある作品の中でミレイの代表作といえば、やはり『オフィーリア』が挙げられるでしょう。

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『オフィーリア』(1851-1852年)。

オフィーリアは、シェイクスピアの名作『ハムレット』に登場するヒロインで、恋人のハムレットに捨てられ、さらに父親を殺されたことで正気を失い、錯乱状態で溺れ死んでいった人物です。
そのオフィーリアが死に直面する場面を主題としたこの作品を、ミレイは実際に川へ行き5ヶ月費やして背景を描いた後、モデルを浴槽に入れてスケッチし、完成させました。

『オフィーリア』を目の前にすると、オフィーリアの悲壮感に満ちた表情、見事な色彩の調和、そして緻密な背景の描写に気付かされます。
また、この作品には様々な植物が描かれていますが、それらには象徴的な意味が込められており(例えば、ケシは死、パンジーは叶わぬ愛、ヒナギクは無邪気など)、それらの花言葉がオフィーリアの精神状態をさらに補完しています。

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『マリアナ』(1850-1851年)。

『オフィーリア』以外にも人物や衣装、装飾など細かいタッチで描かれた作品が多く展示されていましたが、その中でも特に印象に残ったのがこの『マリアナ』です。
『マリアナ』は、詩人アルフレッド・テニスンが詠んだ詩『マリアナ』を主題としており、婚約者に捨てられ、絶望の中で孤独な生活をおくる女性マリアナの閉ざされた心と性的な欲望との葛藤が巧みに表現された作品です。

解釈もさることながら、私は作品そのものの描写力に引き込まれました。
ぼんやりとしたマリアナの視線、身体の線を強調したポーズ、綺麗なステンドグラス、テーブルクロスの細密な描写、ほのかに灯る蝋燭、右下に描かれた小さなネズミ・・・。
細部まで見ずにはいられない作品です。全体的に鮮やかな色彩で表現されたところにも魅了されました。

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図録(2500円)とチケット。
展示場で図録を見たら、実際の作品と色があまりに違っていたのでびっくりしました。購入するかどうか迷いましたが、解説があるので、結局買ってしまいました。

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2007年12月31日 (月)

アンカー展

昨日、Bunkamuraザ・ミュージアムで開かれている「アンカー展」(2007年12月1日~2008年1月20日)に行ってきました。

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「アンカー展」のパンフレット。

アルベール・アンカー(1831-1910年)は、スイスの画家で、風景画や静物画などのジャンルのみならず、故郷インス村の子供や老人などの日々の生活を題材にした作品を数多く描きました。
1855年にパリの美術学校へ入学。その後は、秋から春まではパリで制作に励み、夏はインス村に戻ってスケッチをするという生活を1890年まで続けました。

日本でアンカーの名前や作品を知る人は少ないと思います。私も、スイスに行ったことがあるのにもかかわらず、恥ずかしながらアンカーを知りませんでした。しかし、スイスの人々にとっては、親しみを持つ国民的な画家のようです。

日本初の本格的な今回の展覧会では、約100点の作品が展示されています。繊細に描写された絵画はどれも素晴らしく、私はとりわけ子供に焦点を当てた作品に魅了されました。

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『スープを飲む少女』1898年。

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『髪を編む少女』1887年。

2点とも少女を題材にした作品ですが、いずれもモデルは鑑賞者を意識しておらず、むしろ外界とは関係なく自らの行為に集中しています。このような表現方法を採ることで、普段の生活を送る自然な少女の姿が、観る者に対して温かさや安らぎを与えているのではないかと思われます。

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『静物(お茶の時間)』1877年。

静物や庶民の生活風景を描いたフランスの画家、ジャン・バティスト・シメスト・シャルダン(1699-1779年)に憧れていたアンカーは、約35点の静物画を残しています。ただ、サロンには1点も出品されていなかったため、個人的な興味で描いていたのではないかと言われています。
『静物(お茶の時間)』は、彼が指標としていたシャルダンを思わせるような作品で、対象物の食器や液体などの質感を過度な筆遣いをせず、素直に表現しています。

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ハードカバーの図録(2500円)とチケット。
図録には、個別の解説がされていない作品のページもありますが、全体的にコンパクトにまとまっていて良いと思います。


なお、このアンカー展は、今後下記の美術館を巡回します。

郡山展 2008年2月2日~3月23日 郡山市立美術館
松本展 2008年4月8日~5月18日 松本市美術館
京都展 2008年5月24日~6月22日 美術館「えき」KYOTO

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2006年4月 2日 (日)

プラド美術館展

4月1日、東京・上野の東京都美術館で開催されているプラド美術館展へ行ってきました。15時過ぎに入場したためか、思った程の激しい混み具合ではありませんでした。

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左)東京都美術館の東門にあった看板。
右)プラド美術館展の入場券。

エル・グレコ、ゴヤ、ベラスケス、ムリーリョなど81点の作品が展示されている今回のプラド美術館展。当然の如く魅了される絵画ばかりなのですが、その中でも特に惹かれた作品が数点ありました。

まず一つ目は、ルーベンスの「フォルトゥーナ(運命)」です。なびいている布を握り締めている左手と球体に右足をのせている女神フォルトゥーナの眼差しに、私は不思議と引き寄せられる感覚に囚われました。

二つ目は、マエーリャの「夏」です。麦畑で右手に松明、左脇には麦の穂を抱えて画面左上に目線を向ける女性像で、何か頼もしさを感じさせる印象を受けました。

三つ目は、メレンデスの「ボデゴン:プラム、イチジク、パン、小樽、水差しなど」です。メレンデスの静物画は、他にも西瓜や柘榴(ザクロ)を題材にしたものも展示されているのですが、パンと水差しの描写力がかなり秀でているこの作品に一番心を揺り動かされました。
同じくパンを題材にした作品がパリのルーヴル美術館にも展示されています。両方とも質感が高く、食欲をそそられるようなパンが描かれています。
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<参考>メレンデス「無花果(イチジク)のある静物」(ルーブル美術館)。
手を伸ばしたくなるパンが再現されており、これは「ボデコン:プラム~」でも同様に表現されています。
※この絵画は今回のプラド美術館展に展示されていません。

作品を鑑賞後、2階のミュージアム・ショップでカタログを購入し、美術館を後にしました。

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左)表紙はティツィアーノの「アモールと音楽にくつろぐヴィーナス」。
右)2300円(税込み)で300ページ以上あります。(裏表紙)

ちなみにこの日の上野公園はちょうど桜が見頃で、まさに人、人、人でした。

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大勢の花見客でにぎわう上野公園。

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